留学生から特定技能への移行について
日本で学ぶ留学生にとって、「特定技能」在留資格への移行は、卒業後のキャリア形成や日本での就労機会を広げる重要な選択肢です。近年、特定技能制度は留学生にとって新たな就労ルートとして注目されています。本記事では、留学生が特定技能資格へ移行する際の要件、流れ、メリット、注意点について詳しく解説します。
留学生から特定技能への移行の背景
日本では、労働力不足が深刻化しており、特定技能制度が2019年に導入されました。一方で、日本の大学や専門学校を卒業する留学生も増加していますが、全員が「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格で就職できるわけではありません。そのため、特定技能制度が留学生にとって新たな選択肢として活用されています。
特定技能資格の概要
特定技能1号
- 在留期間: 最大5年(1年ごとの更新)
- 対象業種: 14分野(例:介護、外食業、宿泊業、建設業など)
- 日本語能力: 日常会話レベル(JLPT N4以上)
特定技能2号
- 在留期間: 制限なし(更新可能)
- 対象業種: 現時点で建設業と造船・舶用工業のみ
- 日本語能力: 必須条件ではないが、業務遂行に必要なレベルが求められる
留学生が特定技能資格を取得する流れ
1. 留学生としての学業修了
留学生は日本の大学、専門学校、または日本語学校を修了する必要があります。特に専門学校卒業者は「専門士」の資格を取得することで特定技能への移行がスムーズになる場合があります。
2. 特定技能試験の受験
留学生が特定技能資格を取得するには、以下の条件を満たす必要があります:
- 技能試験に合格: 特定技能1号の対象業種ごとに設定された試験をクリアする必要があります。
- 日本語試験に合格: 日本語能力試験(JLPT)N4以上、または特定技能評価試験の日本語基準を満たすこと。
3. 特定技能の申請
技能試験と日本語試験に合格後、特定技能資格の申請を行います。この際、以下の書類が必要です:
- 雇用契約書
- 試験の合格証明書
- 在留資格変更許可申請書
留学生が特定技能資格を選ぶメリット
1. 日本での就労機会の拡大
特定技能は、特に人手不足が深刻な分野での就労が可能です。留学生にとって、専門的な知識がなくても就職の可能性が広がります。
2. 日本語能力が有利に働く
すでに日本語教育を受けている留学生は、特定技能の日本語要件を満たしやすいという利点があります。
3. 実務経験不要
「技術・人文知識・国際業務」のような高度な職種と異なり、特定技能では実務経験が必須ではありません。
留学生が特定技能資格を取得する際の注意点
1. 在留資格の変更申請が必要
留学生は「留学」ビザから「特定技能」ビザへ在留資格を変更する必要があります。この手続きには、法務省への申請が必要です。
2. 家族帯同は原則不可
特定技能1号では、家族を日本に帯同することが認められていません。家族を呼びたい場合は、特定技能2号への移行を目指す必要があります。
3. 受け入れ企業の選定
特定技能資格で働くには、登録支援機関として認定された企業や団体との雇用契約が必要です。適切な企業を選ぶことが重要です。
特定技能資格取得のサポート体制
多くの自治体や教育機関が留学生向けに特定技能資格取得をサポートしています。具体的には:
- 試験対策講座の提供
- 就職フェアや企業とのマッチングイベント
- 日本語学習のサポート
また、国際交流団体や専門のコンサルタントも支援を行っています。
まとめ
留学生が特定技能資格へ移行することは、日本での就労とキャリア形成を実現する有力な選択肢です。この制度は、日本語能力や学業経験を活かし、人手不足分野での活躍を目指す留学生にとって大きなメリットがあります。
一方で、資格取得の手続きや企業選びには注意が必要です。正しい情報をもとに準備を進めることで、日本での新たな生活とキャリアを成功させる第一歩となるでしょう。